明治時代より地域の皆様に愛される「月うさぎ」。私は創業者である曽祖父から数えて、4代目店主になります。平成17年2月より工場併設店舗として、月の美しい女島に移転してまいりました。
朝から晩まで菓子づくりに励む両親の背中を見て育った私にとって、この仕事はとても身近なものです。土日祝日も必ず店を開け、不定期な休みの中で働く両親の姿に、菓子づくりという仕事はとても大変なものだと、幼心にもひしひしと感じていたものです。
大学卒業後は、お菓子とは関係のない旅行会社に就職していました。しかし、数多くの国に訪れているうちに、自分が行く先々の土地独自の食文化に、強い興味を抱いていることに気づいたのです。
食への関心を深めていく中、大人になった私は、昔とは違う目線から両親の背中を見つめていました。
お客様は心が踊るような明るい声と笑顔でお店に来られて、嬉しそうに帰っていきます。
お客様のよろこびに直接触れられるこの仕事に大きなやりがいを見出し、そして、お菓子の持つ力に惹かれるようになっていたのです。
お菓子は、「食品」であるという観点から、もちろん食の安全にも真摯に向き合いながら、とびきり美味しいものを作り続けていきたいと考えています。
「月うさぎ」が自家製餡にこだわり続けているのは、私どもが自ら選び抜いた素材だけを使用し、いちばんいい状態のお菓子を、お客様にてごろなお値段でお届けしたいという想いからです。
とはいえ、味を楽しむことだけがお菓子の本質というわけでもありません。
家族や恋人、友人や仲間たちとの楽しい時間に寄り添い、生活を潤して、豊かにしてくれるもの。時には心身の疲れさえもいやしてくれる。お菓子には、そんな魔法のような側面もあります。
お客様の幸せな時間をつくるお手伝いをしたい、みんなを笑顔にしたい、感動をお届けしたい。
私はよく自分の作ったお菓子がどのようにお客様のもとに届き、どんなふうに喜ばれているかということを考えます。それは私にとって、思わず頬がほころんでしまうほどに楽しく、しあわせな時間なのです。
明治時代より地域の皆様に愛される当店ですが、これからはお客様のこまやかなご希望にお応えできるようなお店づくりを目指していきたいと考えています。
オーダーメイドのプリントクッキー、オリジナルデザインのケーキなど、世界にひとつだけのオリジナル商品もご用意しております。お客様の大切な日、特別な時間の演出に、月うさぎのお菓子がお手伝いできれば幸せだと思っています。
月うさぎはこれからももっと佐伯という地域、そしてお客様の暮らしに寄り添うようなお菓子づくりにつとめてまいります。